3Dテンプレート

3Dテンプレート

3Dテンプレート

前回までの記事でBHA・THAの2Dテンプレートを紹介しました。
今回は3Dテンプレートを簡単に紹介したいと思います。

3Dテンプレートとは

3Dテンプレートとはどのようなものなのでしょうか?

前回までの記事で紹介した2Dテンプレートは全てレントゲン上にて行うものです。3Dテンプレートは骨のCTを撮影して三次元でデータ出力します。そのため髄腔形状や臼蓋の構造も三次元の情報として出力されます。

出力された骨にインプラントをデータ上で設置して位置関係や形状の適合性を把握できるという訳です。
2Dテンプレートとは情報量が全く異なります。

 

実際の3Dテンプレート

では実際の3Dテンプレートはどのようなものなのでしょうか?
ステムのテンプレートから見てみましょう。

3DテンプレートBHA・THA

例えば上図のステムの3Dテンプレートは色で皮質との接触の強さを表したりします。これで適正サイズや、どのステムが髄腔形状に適しているのかを視覚的に把握できます。

TKAにも3Dテンプレートはあります。

実際の3DテンプレートTKA

TKAにおいても骨切り量や内外側後顆の骨棘の残存具合が確認できます。切除の際に取り残しに留意できたりします。

TKAに関しては今後記事にしていく予定です。

 

2Dテンプレートの違いは?

2Dテンプレートと3Dテンプレートの違いは平面か立体かだけではありません。

前述したように、3Dテンプレートでの情報量は非常に多く、様々な事が分かります。その一例として皮質骨への接触量を紹介します。

例えば髄腔形状に対して大きいサイズのステムを設置すると必要以上に皮質に食い込み、他の部分での接触が不十分になったり、骨肥厚が起こり大腿部痛が出現する場合があります。ステムのオーバーサイズについて3Dテンプレートでみてみましょう。

ではさっそくステムの3Dテンプレートにてオーバーサイズを設置してみます。
遠位固定型セメントレスステムです。

3Dテンプレート適正サイズとオーバーサイズ

上図の左写真が適正サイズです。
黄色・緑色の部分は皮質に適切な強さで接触している部分です。左写真はステム遠位部分で適切な強さでステムが接触しているのが分かります。

比べて右写真は1サイズ大きなステムです。
ステムのZone3、Zone6の部分(中間位〜遠位部分)が赤くなっているのが分かります。つまり皮質に必要以上に強く接しているということになります。

また、内反設置や外反設置ではどのようになるのでしょうか?
内反設置や外反設置を把握していない方は先に「ステムの基礎知識3」をご参照下さい。

さて、あえて内反・外反の設置を作ってみました。

3Dテンプレート。内反設置と外反設置

左写真が内反設置です。
Zone3の部分にて赤くなっているのが分かります。

また右写真が外反設置です。
Zone2とZone5におけるステム尖端部分が赤くなっているのが分かります。

このような設置では皮質の接触の点においても適していない事が視覚的に分かります。
やはりステムの中間位設置は大切ですね。

 

3Dテンプレートで出来ること

3Dテンプレートで出来ることは形状選択やインプラントのサイズ予想だけではありません。
例えばBHAやTHAの3Dテンプレートはデータ上でインプラントを設置した後に動かしてインピンジメントの予測も可能です。

BHA3Dテンプレート術後可動域の予想

上図はBHAの3DテンプレートですがTHAでも同様に可能です。

大腿骨と骨盤側のインピンジメント(可動域限界)やインプラントと骨盤のインピンジもどの部分で起こるのか把握できるため、術中の骨棘をどの程度取れば良いかや、術後の限界可動域も把握できます。
またそのため術後に可能な日常生活動作を事前に患者さんに説明することも可能です。

 

2Dテンプレートは解析ソフト等がない時代の工夫です。レントゲンから分かる情報のみで術前計画を行う必要があったためですね。

近年は3Dテンプレートが主流になりつつあり、2Dテンプレートを行わない施設も出てきております。そのため2Dテンプレートはもはや古い方法として近い将来完全になくなっていくのかも知れません。
しかし2Dテンプレートを何症例も行うことでレントゲンをパッと見ただけで適切なステムが判断できるようになったり、手術の構成イメージができるようになる事もあります。もちろん手術の経験と照らし合わせての話ですが、、、

2Dテンプレートは股関節を診る場面において知っておく必要はあると思います。
施設によってはあえて2Dテンプレート若手医師に作図させる施設もあるようです。

今回はここまで。3Dテンプレートの簡単な紹介でした。

 

 

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