Radiolucent Lineとは
- 2018.03.23
- THA・BHA
Radiolucent Lineとは
前回は応力遮蔽Stress Shieldingについて説明しました。
今回はステムの緩みによりレントゲン上に出現するRadiolucent Lineについて説明します。
Radiolucent Lineとは?
Radiolucent Lineとはステムの緩みが生じている場合にレントゲン上に出現する見え方のことです。
よくステムの成績発表などでも出てきます。日本語の読み方は「ラジオルーセントライン」です。
このようにレントゲンでは黒く写り、主に線状に写ります。
レントゲン上でRadiolucent Lineが見えるという事はその場所にて十分なBone ingrowthが起こっていないという事です。本来固定力を発揮しなくてはいけない部分でRadiolucent Lineが確認出来た場合は固定力不足と考えられます。固定力不足により緩みがあるとステムは少なからず動いてしまいます。
この微細な動きをMicro Motionといい、その動く範囲が150μm以上で完全に骨新生は成されずに長期固定は成されないと言われています。
その状態では骨折のリスクも向上します。
THAやBHA後の大腿骨において何らかの原因で骨に必要以上の圧力がかかる事は多いです。その圧力に耐えられないくらい骨密度が低下していたり、圧力が大き過ぎたりすると結果として骨折が起こります。
Radiolucent Line = 緩みの問題発生?
レントゲン上でRadiolucent Lineが出現したら全て設置不良による緩みとして問題になるのでしょうか?
前回の反省を踏まえて書かせて頂きますと、全てのRadiolucent Lineが問題となる訳ではありません。
固定されるべき部位で出現する場合は問題ですが、固定されるべき部位以外にRadiolucent Lineが出現する場合はあまり問題になりません。
つまり例えば遠位固定型ステムにてステム近位部分にRadiolucent Lineが確認できたとしても、もともと皮質に十分に接していないだけですので問題にはなりません。固定力も遠位でしっかり発揮されます。
Rectangleタイプの遠位固定型ステム
ただし例えば近位固定型ステムでステム近位にRadiolucent Lineが出現している場合は問題となってきます。
Round型の近位固定型ステム
上図は近位固定型のステムです。Zone7にRadiolucent Lineが確認できます。この場合は固定されるべき場所で十分な固定がされていないため、緩みが出現してしまいます。
問題となってくるRadiolucent Lineですね。
このようにレントゲンでは様々な情報が確認できます。
理学療法士などのセラピストの方々もレントゲンを見る機会は多いと思います。THAやBHAの術後のレントゲン画像を見る際は確認してみて下さい。
また、「レントゲンから見る脱臼のリスク」シリーズでもレントゲンから分かる情報を記載しておりますので、併せてご確認頂くと理解が深まります。
リンク:レントゲンから見る脱臼のリスク1・ 2 ・ 3
ただしレントゲンは正常な位置(姿勢)で撮影されていなければあまり参考にならない場合もあります。正常な骨レントゲンを知る事が非常に大切であるのと同様、正常肢位でのレントゲンを知るのも大切です。
次回は股関節正面のレントゲンにおいて、骨盤・大腿骨が中間位かどうかの判断の仕方を説明したいと思います。
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