Subvastus Approachとは
- 2019.09.01
- TKA
Subvastus Approach
TKAの基本アプローチは、
・Medial Parapatellar Approach
・Midvastus Approach
・Subvastus Approach
でしたね。
前回はTKAの基本アプローチの2つめのMidvastus Approachを紹介しました。
今回はその3つめ、Subvastus Approachを紹介していきます。
Subvastus Approachとは
Subvastus Approachは読み方はサブバスタス アプローチ です。
手術肢位は同じく仰臥位で行います。
切開部位は内側膝蓋支帯です。
前回紹介したMedial Parapatellar Approach と Midvastus Approachにおいてはどちらも内側広筋を切離していました。
今回のSubvastus Approachでは内側広筋は切離しません。
内側広筋の下縁に沿って切離し、膝関節最大の伸展機構である大腿四頭筋の温存が可能なアプローチとなっています。
Subvastus Approachのメリット・デメリットは?
Subvastus Approachのメリットはなんといっても大腿四頭筋を切らないという点です。
前回も簡単に触れましたが、TKAの術後においては伸展機能の早期回復が重要となります。
大腿四頭筋を切らないSubvastus Approachはその点では今回紹介する中で最も有利となります。
また当然出血量も少なくなります。
ではデメリットはどうでしょうか?
前回の記事でも書きましたが、低侵襲がゆえに手術の難易度は上がります。狭い手術スペースでインプラントを正確に設置するのは実は非常に難しく、展開の広い術式に比べ、インプラントのアライメント不良を起こしやすい術式でもあります。
また、肥満患者さんにはこの術式は適していません。当然変形の強い膝関節にも適していません。
しかし、それらの問題をクリアし、適正に選択されたうえでのSubvastus ApproachはTKAにおいては低侵襲であり、患者さんにとってメリットの大きな術式と考えられます。
結局どの術式が良いの?
実はTKAにはSubvastus Approachよりさらに低侵襲な術式も存在します。
ここでは紹介しませんが、そのような低侵襲な術式の場合、その術式専用の器械が必要になってきます。
骨切りにしても、インプラントの設置にしても専用の器械なしでは難しくなります。
また、それらの専用器械を用いてもインプラントの設置不良により術後の予後が悪い場合もあります。
この記事でも常々言ってきましたが、どの術式がベストかは患者さんの身体的状態や執刀医の経験により変わってきます。
それぞれの術式にそれぞれのメリットとデメリットがあり、それを理解することが重要と考えています。
どの術式が最も良い、ということはありません。
次回はLateral Parapatellar Approachを紹介します。
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