TKAインプラントの名称
- 2018.04.23
- TKA
TKAインプラントの名称
前回はTKAにおけるACL(前十字靭帯)・PCL(後十字靭帯)の処理方法のパターンを説明しました。PS型・CR型・BCP(BCr)型でしたね。
それぞれのタイプで2つの十字靭帯を温存するのか、切除するのかの違いでしたね。
今回はまずはTKAにおけるインプラントの名称を説明します。その後に各タイプの特徴を説明していきます。
基本は3つのインプラント
TKAでは基本的に3つのインプラントで構成されます。
・大腿骨コンポーネント
・脛骨ベースプレート
・インサート
の3つです。
膝蓋骨を置換する場合は、
・膝蓋骨コンポーネント
も当然重要なインプラントです。
ひとつずつ紹介していきます。
大腿骨コンポーネント
まずは大腿骨コンポーネントです。
大腿骨側に設置されるインプラントで、メーカーによって若干形状が異なりますが、表面置換という意味ではどれも同じです。THAやBHAでは骨頭を全置換でしたが、TKAは表面置換です。関節を置換するという意味では関節全置換術ですが、骨切りは表面のみです。
レントゲンで見るとどれも似たように見えるのですが、大腿骨内顆と外顆の形状が同じ物から内側をややラウンド(丸く凸)させているものなど、実はメーカーによって形状は異なります。
ただし骨側(裏側)はどのメーカーもほとんど同じなので、骨切り自体はほとんど変わりません。
素材はコバルトクロム合金・チタン合金が主です。
脛骨ベースプレート
次に脛骨ベースプレートです。
TKAインプラントにおいてどのメーカーも同じと言っても過言ではありません。ただしBCP型(BCr型)の脛骨ベースプレートはPS・CRと比べやや形状が異なります。
基本的には脛骨を水平に骨切りし設置されます。メーカーによっては数度後傾で骨切りして設置するのを推奨している場合もあります。
この脛骨ベースプレートの上に次に紹介するインサートが設置されます。またプレート遠位に伸びている棒状の部分をステムと言います。THAやBHAのステムとは異なります。
素材は大腿骨コンポーネントと同様、コバルトクロム合金・チタン合金が主です。
インサート
そしてインサートです。
これは大腿骨コンポーネントと脛骨ベースプレートの間に設置され、インプラントの関節面を構成するものです。
素材はポリエチレンで、クロスリンク処理をしているメーカーとしていないメーカーがあります。
ポリエチレンのクロスリンク処理については「THA-LINERの技術進化」に詳細が記載されています。
CR型とPS型ではインサートの形状が異なります。それに合わせて大腿骨コンポーネントの形状もCRとPSで異なります。またBCP型(BCr型)のインサートは2つに分かれているのも特徴です。
インサートは厚さが数種類あります。以前は2mmピッチで用意しているメーカーが多かったですが、最近は1mmピッチで用意しているメーカーが増えました。この1mmの違いがTKAにおいては重要になってきます。
それはTKAの手術概要を説明するときに解説しますね。
TKAの基本的なインプラントはこの3種類ですが、膝蓋骨を置換する場合は膝蓋骨コンポーネントもあります。
素材はインサートと同じくポリエチレンです。
各メーカーによって形状には若干の違いがありますが、PS型やCR型等での形状の変化はなく、どのタイプのTKAインプラントにも(メーカー内で)同じものが適用されます。
膝蓋骨コンポーネントは大腿骨コンポーネントの前面を滑走します。膝蓋骨の変性がある場合や膝蓋大腿関節での痛みが強い症例は膝蓋骨が置換されます。
膝蓋骨の骨棘の除去は行う場合がほとんどですが、膝蓋骨置換を行わない医師も少なくありません。
以上がTKAにおいての基本インプラントです。
インサートと膝蓋骨コンポーネントは素材がポリエチレンなのでレントゲンに写りません。そのため実はこの2種類を知らないという理学療法士さん等もいらっしゃるようです。この機会に覚えてしまいましょう。
次回はCR型のTKAの特徴を説明します。
その後にPS型・BCP型と続きます。
またCS型とBCS型というタイプも続けて解説していく予定です。種類が多いように思えますが、まずはCRとPSを把握するのが大切かと思います。
今回はここまでです。
記事一覧はこちら