Stemテンプレート

Stemテンプレート

Stemテンプレート

前回は股関節のレントゲンがきちんと中間位かどうか確認する方法を紹介しました。
中間位であるかどうか、または撮影された肢位がそのような状態なのか(なってしまっているのか)判断できる事は非常に重要です。

今回は股関節AP撮影における正常肢位を理解した上で、BHAのテンプレートの仕方を説明していきます。
まずはステムのテンプレートです。

「術前テンプレートとは」

テンプレートとは術前に、使用するインプラントの種類や、インプラントの予定サイズの検討を行うことです。また、実際にレントゲン画像にステム等の形状を書き込んでいく作業を作図とも言い、テンプレートと同じ意味と思って頂いて構いません。

様々ある術前計画のひとつですね。

実際のテンプレートシート

このように異なるステムのテンプレートシートを合わせてみて、どのステムが最適かを考えていきます。

ステムの形状だけでなく、患者さんの年齢や骨質など様々な面から決定されます。

ステムの選択において考慮する因子は様々ある

 

BHAテンプレートをしてみる

ではさっそくBHA(人工骨頭置換術)のテンプレートを行っていきましょう。
BHAにおける使用インプラントはもうご存知ですよね?ステムとバイポーラーカップです。
もしまだ把握していない方は「インプラントの名称」を確認してからだと理解が深まります。

今回使用するレントゲンとステムは下図のものとします。

BHAテンプレート例

今回のレントゲンは右大腿骨頸部骨折のものです。大腿骨の髄腔がやや広くDorrの分類ではTypeCと考えられます。

また使用するステムはRectangleタイプの遠位固定型ステムとします。図のステムは近年の発売されたステムであり、ステムのZone1(ステム近位外側)の部分がスリムな形状となっています。

それではまずはステムのテンプレートからしていきましょう。

Stemのテンプレート

まずは使用を検討しているステムのコンセプトを知らなくてはいけません。
今回例として使用するステムはRectangleタイプであるので、遠位部分で皮質骨に噛み込んで初期固定が成されます。
Zweimuller型でありテンプレートが分かりやすいため選びました

 

今回の使用ステム。コンセプトを把握

そして次に大腿骨のレントゲンです。
骨頭中心と髄腔形状を把握しなくてはいけません。その際、骨頭中心と髄腔形状を確認していくのですが、健側で行います。ステムテンプレートは原則、健側です

頸部骨折受傷側の大腿骨では骨折の転位により骨頭中心がズレており、また同様に頸体角や脚長差にも影響がでています。

そのためBHAのステムテンプレートは健側で行うのが基本です。

骨頭と髄腔形状の把握

髄腔形状が把握できたでしょうか?

ステムにはサイズがあり、そのインプラントごとにサイズバリエーションは異なりますがおおよそ10サイズ程あります。各サイズによってネックの長さやオフセットが異なります。

それではいよいよステムのテンプレートをレントゲンと合わせてみましょう。

ステムテンプレート

3枚の写真のテンプレートはどれも固定部位は最適です。遠位部にてしっかりと皮質に噛み込んでいるのが分かります。

しかし左の写真の場合は脚長が長くなり、オフセットも大きくなってしまいます。
右の写真の場合はオフセットは適正ですが、脚長が短くなってしまいます。
真ん中の写真では脚長もオフセットも差は生じておらず、最も適正なのがすぐに分かると思います。

このように各サイズに対応したテンプレートシートをレントゲン写真にあてて確認していきます。

健側にて骨頭中心と固定部位の皮質接触面が適正であれば基本的にはこれで完了です。

tha適正ステムテンプレート

BHAは基本的に臼蓋の変形がない場合ですので、テンプレートも難しくありません。
健側にて合わせれば脚長差やオフセットにズレは生じません。
ただし反対側に変形のある頸部骨折の場合は脚長差・オフセットの再建には注意が必要です。また、変形性股関節症における頸部骨折はBHAではなくTHAを行う場合もあります。

 

難しいのはTHAのCUPテンプレートです。

次回はBHAのバイポーラーカップのテンプレートを説明します。
THAのCUPテンプレートはその次に説明しますね。

 

 

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