近年のステム傾向

近年のステム傾向

近年のステム傾向

前回はCementlessステム「Cylindrical & Full Coated」「Modular」「Anatomic」を紹介しました。

今回は近年(西暦2000年〜)のステムを紹介します。2000年台というと古く感じるかもしれませんが、股関節ステムの歴史の中では新しい部類に入ります。

 

Short Typeのステム

まずはShort Typeです。意味はそのまま短いタイプです。

近年のステムShort type

 

ステム長が短いため髄腔遠位の骨温存が可能です。

また髄腔に対しては近位髄腔のみの侵襲で遠位部分は残っていますので、万が一のリビジョン再置換の際には遠位固定ステムを使用すれば良い訳です。

また、大腿骨側の術野が狭いDAA等の場合に適しています。前方系のアプローチにおいてはロングステムは非常に挿入しにくいです。

※「前方アプローチ(DAA)」「THA・BHAの術野はどれくらい?」参照

 

最近ではShort Stemを良く見るようになりましたが、臨床使用が開始されたのは2000年以降です。低侵襲手術を行う医師が多くなりそのニーズに合わせてステムも進化しています。

 

Slim Typeのステム

次にSlim Typeです。これも意味はそのまま細いタイプです。

近年のステムSlim type

ステムの近位外側部分の肩の張り出しがリデュースされています。そのため大転子部分の骨を削ることなく温存が可能です。

もともとTapered-RectangleのステムはZweimuller先生の開発したステムZweimuller型ステムがほとんどですので、近位外側の張り出しにて回旋抵抗を生むというコンセプトです。

そのコンセプトに対し、ステムの近位外側の張り出しを削るという攻めたデザインとなっています。複数の医師が回旋抵抗に対し比較研究を行っていますが、Slimタイプでも遠位での固定がしっかりされていればヒトの股関節に固定される必要十分な回旋抵抗力があると判断されています。

 

Neck Changeable Typeのステム

そしてNeck Changeable Typeです。意味は、ステムのネック部分が交換可能という意味です。

近年のステムNeck Changeable type

ステム胴体部分とネック部分が別々のデザインとなっています。

つまりステムを骨に挿入した後にネックを取り付けます。ネックには様々な長さの物が用意されており、オフセット・脚長差・前捻角の調整が可能となっています。

トライアル時にいろいろ試し、最も適したネックを術中に選択可能です。もちろんTHA・BHAは術前にオフセット等は計画しますが、計画通りいかない場合も多いので臨機応変に対応可能なタイプとなっています。

抱える在庫が増える分、メーカー様は大変かと思います。

 

廃盤となったステムもある?

このように近年は多様化するアプローチに合わせて様々なステムが開発されております。長期成績の良いステムコンセプトの良い部分をメインに、色々な工夫がなされています。

今後も新たなステムが開発され、機種は増え続けていく(進化していく)と思われます。その中で成績不良のステムはどんどん淘汰されていきます

 

次回はそんな淘汰されていったステムを近年の製品の中で紹介したいと思います。

 

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