カップの基礎知識1
- 2018.03.12
- THA・BHA
カップの基礎知識1
前回まではステムに関する記事が続いていました。今回からはTHAにおけるカップの基礎知識をいくつか紹介したいと思います。
THAカップの種類
まずはステム同様、セメント使用の有無からです。カップにもセメントカップとセメントレスカップがあります。
セメントカップはカップ自体がポリエチレンでできており、ポリエチレンの厚みを最大限にすることが可能です。そのためカップ自体が摺動材となります。
セメントレスカップは金属のカップの内側にポリエチレンのライナーがあり、それが摺動材の役割を担います。
※この場合の摺動材とはheadと擦れる材料の事
固定方法はセメント使用による固定と、ポーラス加工によるBone ingrowth(Bone ongrowth)です。
セメントカップはリーミングした臼蓋に骨セメントを塗り、そこにカップを設置します。セメントが固まることで初期固定が成されます。
セメントレスカップはリーミングした臼蓋にカップを打ち込み、ポーラス部分が骨に食い込み初期固定が成されます。
図のセメントはイメージです。
長期固定の方法は基本的にステムと同様です。
ポーラス加工によるBone ingrowthが分からない方は「ステムの固定方法」を確認下さい。
骨セメントの有無でのレントゲンの違い
セメントカップかセメントレスカップかは、レントゲンを見ればすぐに分かります。
セメントカップは素材がポリエチレンなのでレントゲンに映りません。セメントカップとセメントレスカップのレントゲンの映り方は全然違います。
ポリエチレンはレントゲン画像に投影されない
左のレントゲン写真のようにステムとヘッドのみ写っており、カップが写っていないTHAのレントゲンを見ることがあると思いますが、それはカップがセメントカップだからなんですね。
決してカップが設置されていない訳ではないです。
ただ、骨セメントはレントゲンに映ります。
左の写真のセメント部分に青で着色したのが右の写真になります。うっすらですがセメントが写っているのが分かります。
またHead中央やや近位の両側に白い直線がありますね。それがカップの縁の部分です。ほとんどのセメントカップはこの縁が映りますので、CUP外転角の把握も容易です。この場合はCUP外転角はちょうど45°ですね。
CUP外転角は非常に重要です。まだご理解していない方は「CUP外転角」を確認してください。
また、セメントレスカップの初期固定はカップの回旋を防止するためのスクリューを使用して固定するのが基本です。しかし最近はポーラス加工による骨への食い込みの固定のみでスクリューを使用しない場合も増えてきています。
スクリューを使用しないTHAカップは割りと最近のやり方です。
以前はカップの設置には必ずスクリューを使用していましたが、カップ表面のポーラス加工の方法が様々に進化していく中で確立されていきました。
最近はスクリューを使用しない医師が増えており、レントゲン写真もスクリューのないTHAを見る機会が増えているのではないかと思います。
スクリューの設置は少なからずリスクがあります。
次回はTHAにおけるスクリュー設置の話をしたいと思います。
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