ステムの基礎知識7 (Cementless Stemの種類2)
- 2018.03.07
- THA・BHA
ステムの基礎知識 7
Cementless Stemの種類(2部目)
前回に引き続きCementless Stemを紹介します。
今回は「Tapered」の中の3種類、「Round」「Cone」「Rectangle」です。
Cementless Stemの種類のおさらい
Harpal S. Khanuja先生の分類をおさらいしましょう。
・Tapered
(Round)
(Cone)
(Rectangle)
今回は第2部、「Taperd」を紹介します。
Taperとは「テーパー」の意味で、ステムにおいては一定の角度のついた構造を意味します。
Taperedタイプの中には3種類あり、『Round』『Cone』『Rectangle』があります。それぞれを説明していきます。
「Dorrの分類」と「ステムの固定方法」をまだ読んでいない方は先に確認してからですと理解が深まります。
Tapered – Round
まずはTapered – Roundです。日本語の読み方はテーパーラウンドです。
Roundとは「円形」の意味で円形にカーブしているといった意味合いです。
角(複数)で皮質に接して固定する。写真のステムは髄腔占拠率の低いタイプ
Tapered – Roundは前後のフランジ(出っ張り)で回旋抵抗を得るのが特徴です。
固定は近位固定で、主にステムの内側で皮質骨と接して固定を得ます。
ステムの近位部分にポーラス加工が施されており、そこにBone ingrowthまたはBone ongrowthが起こり長期固定となります。
前後に薄いため、前部・後部での干渉を受けにくく、内側皮質骨のカーブにフィットさせやすいためそれによる初期固定力・回旋抵抗力を得ることができます。
近位の内側皮質骨を利用して固定されるので、TypeCのように内側の皮質が薄くカーブの角度が急な髄腔形状には向きません。
また、TypeAの大腿骨に対して遠位部分が太いTapered – Roundタイプを使用すると、髄腔遠位部で皮質骨を接してしまいます。そのため近位での接触が弱くなり遠位固定となってしまい、コンセプトと異なる固定方法となってしまう場合があります(遠位部は表面粗度が低いためBone ongrowthは起こりにくい)。
Tapered – Cone
次にTapered – Coneです。読み方はテーパーコーンです。
Coneとは「円錐」の意味です。そのため遠位尖端に行くほど細くなっています。
Tapered – Coneは剪断力を圧応力に変えることが特徴的です。
固定は遠位固定で、複数のリブが皮質骨に食い込み固定を得ます。
ステムの胴体部分にポーラス加工が施されており、そこにBone ongrowthが起こり長期固定となります。テーパー形状であるため遠位での髄腔占拠率を上げ、付いているリブを強固に食い込ませ回旋抵抗力を高めます。
TypeAのような髄腔形状の大腿骨に使用すると遠位での接触率が低くなり、尖端だけでの接触になってしまい、固定力が期待できないため不向きです。
Tapered – Rectangle
次にTapered – Rectangleです。読み方はテーパーレクタングルです。
レクタングルとは「長方形」の意味です。そのため四隅の角が食い込む構造です。
Tapered – Rectangleはステップレスデザインであるため、ステムサイズの変更で挿入深度の調整が可能であることが特徴です。
固定は遠位固定で、四隅の角が皮質骨に食い込んで固定されます。
ステムの胴体部分にポーラス加工が施されており、そこにBone ongrowthが起こり長期固定となります。
テーパー形状であるため遠位での髄腔占拠率を上げ、四隅を強固に食い込ませ回旋抵抗力を高めます。またステムの近位外側の肩が張り出している部分で回旋抵抗力を得ます。
TypeAのような髄腔形状の大腿骨に使用すると遠位での接触率が低くなり、尖端だけでの接触になってしまい、固定力が期待できないため不向きです。
近年Tapered – Rectangleタイプはステム近位外側の肩の張り出しをかなり抑えた細いステムも開発されております。
今回はCementless Stemの「Tapered」の3種類『Round』『Cone』『Rectangle』を紹介しました。
次回は「Cylindrical」「Modular」「Anatomic」を紹介します。
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