ステムの基礎知識6 (Cementless Stemの種類 1)

ステムの基礎知識6 (Cementless Stemの種類 1)

ステムの基礎知識 6

Cementless Stemの種類(1部目)

前回はCemented Stemの種類を紹介しました。今回はCementless Stemの種類を紹介していきます。

Cementless Stemは種類が多く、様々な分類があります。今回紹介する分類はHarpal S. Khanuja先生の作成した分類で、多くの整形外科医師が学んでいるものです。

 

Cementless Stemの種類

さて、まずは分類です。

・Single Wedge

・Fit & Fill

Tapered

 (Round)

 (Cone)

 (Rectangle)

Cylindrical & Full Coated

Modular

Anatomic

 

Cementless Stemの種類

これらに分類されます。多いですね。Cementless Stemの種類は3部構成で紹介していきます。今回は第1部、「Single Wedge」と「Fit & Fill」です。

 

Dorrの分類」と「ステムの固定方法」をまだ読んでいない方は先に確認してからですと理解が深まります。

 

Single Wedge

まずはSingle Wedgeです。日本語の読み方はシングルウェッジです。

 

Cementless Stem(Single Wedge)

面(内外側)で皮質に接して固定するが、近年では面(全体)や角(四隅)で固定されるタイプもある

Single Wedgeはステム長が短いことが特徴です。

固定は近位固定で、ステムの内外側で皮質骨と接して固定を得ます。

また短いステム長に加え、ステム近位外側部分の肩が張っていないデザインなので幅が狭く、低侵襲にも適しています。

ステムの近位部分にポーラス加工が施されており、そこにBone ingrowthまたはBone ongrowthが起こり長期固定となります。

近位の皮質骨を利用して固定されるので、TypeCのように皮質が薄く幅の広い大腿骨には適しません。

また、TypeAの大腿骨に対して遠位部分が太いSingle Wedgeタイプを使用すると、髄腔遠位部で皮質骨を接してしまいます。そのため近位での接触が弱くなり遠位固定となってしまい、コンセプトと異なる固定方法となってしまう場合があります(遠位部はポリッシュのためBone ingrowthは起こりにくい)。

 

近年では通常のSingle Wedgeタイプからさらにステム長を短くした、ショートステムも販売されています。

 

Fit & Fill

次にFit & Fillです。読み方はフィット アンド フィルです。

 

Cementless Stem(Fit & Fill)

Fit & Fillは髄腔占拠率を高めたステムです。

固定は近位固定で、内外側・前後にて皮質骨と接して固定を得ます。

髄腔内に隙間なくステムで満たしてより多い面で皮質に接することで固定力を高めます

ステムの近位部分にポーラス加工が施されており、そこにBone ingrowthまたはBone ongrowthが起こり長期固定となります。

遠位部分も円柱状であり、遠位髄腔の髄腔占拠率を高めるデザインとなっています。そのためTypeAのような髄腔形状の大腿骨に使用すると近位での接触が弱くなり遠位固定となってしまい、コンセプトと異なる固定方法となってしまう場合があります(遠位部はポリッシュのためBone ingrowthは起こりにくい)。

またTypeCのように髄腔が広い形状には髄腔占拠率を上げられず、固定が不十分になる恐れがあるためあまり適していません。

 

近年ではFit & Fillはあまり選択されなくなってきています。理由は髄腔をステムで占めるため海綿骨の温存率が低いこと、回旋抵抗に弱い事が挙げられます。

 

 

今回はCementless Stemの「Single Wedge」と「Fit & Fill」を紹介しました。

次回はTaperedの3種類を紹介します。

 

 

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