BHAの適応 1
- 2018.01.23
- 解剖学・生理学
大腿骨頸部骨折ってどんな骨折?
人工骨頭置換術(BHA)を説明する上で必ず知っておかなくてはいけないのが大腿骨頸部骨折です。
今回は大腿骨頸部骨折(広義)について書いていきます。もう知っているという方は飛ばし頂いて構いません。
頸部骨折には種類がある?
実は、大腿骨頸部骨折とは実は広義と狭義があるのです。
まずは大腿骨の「頸」つまり大腿骨の「首」の部分とはどこなのでしょうか?
図で示します。
「解剖頸」と「外科頸」があります。
大腿骨の首の部分、つまり解剖頸と外科頸の周囲が折れたものを広義での大腿骨頸部骨折となります。
さて、大腿骨頸部骨折(広義)を細分化すると、
・大腿骨頸部骨折(狭義)
・大腿骨頸基部骨折
・大腿骨転子部骨折
・大腿骨転子下骨折
とこんなに種類があります。
図で説明するとこんな感じです。
折れる場所によって手術適応も名称も違います。
・bの範囲で折れたものを「頸部骨折」(狭義)
・cの範囲で折れたものを「頸基部骨折」
・dの範囲で折れたものを「転子部骨折」
・eの範囲で折れたものを「転子下骨折」
となります。
またbの範囲での骨折を「内側型骨折」、cdeの範囲の骨折を「外側型骨折」と言います。
ちなみにaの範囲で折れたものを「骨頭骨折」と言い、頸部骨折(広義)には分類されませんが関節内の骨折です。
また、eより遠位で折れた骨折を「大腿骨骨幹部骨折」と言います。
BHAの適応は大腿骨頸部骨折(狭義)です。
狭義の大腿骨頸部骨折に関しては次の記事で説明しています。
ちなみに頸部骨折(狭義)以外の骨折への適応オペはほとんど髄内釘になります。
髄内釘とはγ型ネイルのことです。γ型ネイルについては今回は詳しくは書きません。そのうち書かせて頂きます。
頸部骨折の「内側型」「外側型」って何?
大腿骨頸部骨折(広義)には「内側型骨折」と「外側型骨折」があります。
内側、外側とはどこを基準にしている言葉なのでしょうか?
それはずばり 関節包 です。関節包の内側か外側か、ということなのですね。
では関節包の内側か外側かで何か違いがあるのでしょうか?
それは「大腿回旋動脈」が交通しているか、否かの違いです。
回旋動脈には「内側大腿回旋動脈」と「外側大腿回旋動脈」の2種類があります。上の図は正面からの前額面ですので、外側回大腿旋動脈は裏側へ隠れています。
この2本の内外側大腿回旋動脈から伸びた毛細血管は関節包の内側へと伸びていきます。
つまり関節包の内側で骨折すると、この回旋動脈は損傷してしまう可能性が高い訳です。
「内側型骨折」=「関節包内骨折」・「外側型骨折」=「関節包外骨折」とも言います。
逆に関節包の外側で折れていれば回旋動脈は無事な可能性が高い訳です。
実は、回旋動脈が損傷されるか否かで非常に意味合いが異なります。
どのような違いがあるのでしょうか?
次回は上記の血管の説明も含め、頸部骨折(狭義)について詳しく書いていきたいと思います。
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