問題となるStress Shielding
- 2018.03.22
- THA・BHA
問題となるStress Shieldingとは
前回はステムのStress Shielding(応力遮蔽)について説明しました。
THA・BHAにおいてStress Shieldingは少なからず起こりますがそれが問題となる場合も多くはありません。では問題となるようなStress Shieldingが起こるのはどういった際なのでしょうか?
今回はそれを説明していきます。
ステムコンセプトと異なる設置による影響
問題となるようなStress Shieldingはそれぞれのステムのコンセプトと異なる意図しない設置、つまり設置不良で発生する場合が多いです。
基本的に近位固定型ステムは近位に荷重伝達が、遠位固定型ステムは遠位に荷重伝達が成されます。
しかし例えば、近位固定のステムが本来の近位での固定がされず、遠位での固定になってしまった場合、近位での荷重伝達が行われにくくなってしまいます。当然ですね。
その際などに問題となるStress Shieldingが発生してしまう訳です。
例えば髄腔形状の非常に狭い患者さんに対し、遠位部が太く長いFit & Fillタイプのステムを入れた場合等はこれに当てはまってしまう可能性があります。
オーバーサイズにより遠位部にて意図しないプレスフィットが起こってしまった場合の例
図のように、近位固定型ステムが意図せず遠位固定になってしまった場合、近位の骨には荷重が伝達されにくい状態となってしまいます。
この状態のときにZone1やZone7の部分に荷重伝達が不足し、骨萎縮が発生しやすくなるという訳です。
ではそのような場合レントゲンではどのような変化が起こるのか見ていきましょう。
近位固定型ステムで遠位部で骨肥厚?
上記の例、髄腔の狭い患者さんに対し無理をしてFit & Fillタイプのステムを入れた場合を例にして見ていきましょう。
Fit & Fillタイプのステムは近位の髄腔占拠率を上げて大腿骨近位にて固定を成すステムというのがコンセプトでしたね。まだ確認していない方は「ステムの基礎知識6」を参照して下さい。
設置に問題がなく、近位部での固定が十分な場合には問題となるようなStress Shieldingは発生しません。しかし例えば意図せずに遠位で固定がされてしまった場合は骨肥厚となって現れる場合があります。
こちらの図を見てみましょう。
ステム遠位部周囲の骨が肥厚しているのが分かります。これはこの部分に圧がかかっている事を示しており、意図せずに遠位部分で荷重を受け過ぎていることが考えられます。
そのため本来近位部分で荷重を伝達するはずが、遠位にて荷重伝達を行ってしまっているという事になります。つまり近位の骨には荷重による軸圧はかかりにくいです。
本来であれば大腿骨の近位部分で皮質にしっかりと接し、固定が成されて荷重が伝達されるはずが、遠位で必要以上に皮質に接してしまったため遠位部で骨肥厚が起こってしまっています。
この場合などは、近位の骨に負荷(荷重)がかからずに骨萎縮が起こってきます。
近位固定のステムは近位の骨に、遠位固定のステムは遠位の骨に荷重が伝達されることがステムの基本です。
コンセプト通りにいかないステム固定は不安定性や緩みによるマイクロモーションによって痛みや術後骨折が起こる可能性が出てきます。
今回の例でいうとFit & Fillタイプですので遠位部の正面粗度は低くポリッシュ加工です。そのため遠位部分で意図しないプレスフィットが起こっていると固定力は弱く、マイクロモーションや緩みに直結します。
固定が十分なくステムが緩んでいる際にレントゲン上に現れるのがRadiolucent Lineです。
次回はRadiolucent Lineについて説明したいと思います。
⇐前記事(応力遮蔽Stress Shieldingとは)
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