後側方アプローチ(PLA)
- 2018.02.06
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後側方アプローチ
前回は後方アプローチ(PA)を紹介しました。今回はPAとやや似ている後側方アプローチを紹介しようと思います。
別名「後外側アプローチ」とも言いますね。
後側方アプローチ(PLA)とは
まずは概念から説明して行きます。
後側方アプローチは英語でPosterior Lateral Approachです。略字ではPLAと記載されます。
PLA(後側方アプローチ)はPA(後方アプローチ)の次にBHAのオペに多く用いられている手法です。PLAはPAとほとんど同じと考えて良いです。
両者の違いは中殿筋の一部を切開するかしないかです。
・PLAは中殿筋を切開します。
・PAは中殿筋を切開しません。
PLAの切開は筋そのものを切る『筋切開』で切開部位は、
・大殿筋
・中殿筋
・外旋六筋(詳細略)
です。
外旋筋の処理は『後方アプローチ(PA)』を参照して下さい。同じです。
脱臼肢位もPAと同じ 屈曲+内転+内旋 です。
基本情報はここまでです。
かなり後方アプローチと似ている点が多いです。PAとPLAではメリットとデメリットに違いがあります。それを確認していきましょう。
PAとPLAの違いは?
PLA(後側方アプローチ)のメリットとデメリットはPA(後方アプローチ)とほとんど同じです。手術肢位も同じで脱臼肢位も同じです。
ではPLA(後側方アプローチ)とPA(後方アプローチ)は何が違うのでしょうか?
それではまずPLAとPAはどのように選択されるのかを説明します。PAが中殿筋を切らないのに対し、PLAは中殿筋を切ります。そのため、
PAは中殿筋を切開しない分、術後に中殿筋の出力は低下しません。
PLAは中殿筋を切開するので、術後に中殿筋の出力が低下します。
手術手技での明確な違いはこれだけです。
それだけで考えると、どうせPLAをやるなら中殿筋を切らないPAで手術を行った方が良いのではないかと考えられますね。どちらも外旋筋は切りますしね。
では、なぜPLAを選ぶ医師がいるのでしょうか?
PLAはPAに比べ座位に有利?
中殿筋を切らないPA(後方アプローチ)より、中殿筋を切るPLA(後側方アプローチ)を選択する医師がいる理由。それは術後の疼痛の訴えの違いです。
術後の何の疼痛かと言うと、座っているときの痛みです。
そう、傷口の痛みです。座っているときに座面と術創部が接触しやすいPAでは傷口の痛みを訴える患者さんが少なくないのです。日常生活において座位がかなりの時間を占めていますもんね。
PLAではPAに比べやや側面を切開します。そのためPLAでは座っている姿勢でも座面と傷口が接することが少ないため、PAに比べ傷口の痛みを訴える患者さんが多くありません。
その代わり中殿筋の一部を切開しますが。
中殿筋による股関節外転筋は股関節の安定性に非常に大きく関与するため術後の中殿筋の出力は重要である。
図で比較すると分かりやすいです。PLAではPAに比べ座位時に術創部が座面に当たりにくいのが分かります。
PA(後方アプローチ) PLA(後側方アプローチ)
そのためPAよりPLAを選択する整形外科医も結構おります。術後の中殿筋の出力低下よりも座位時に痛くないという患者さんのQOLを優先した考え方ですね。逆に中殿筋の出力が重要と考えている医師はPLAよりPAを選択します。何を優先するかの違いで術式は選ばれるんですね。
PLAの特徴と、PAとの違いがご理解して頂けてかと思います。
後側方アプローチ(PLA)の紹介は以上です。次回は外側アプローチについて説明していきます。
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