Lateral Parapatellar Approachとは

  • 2019.09.19
  • TKA
Lateral Parapatellar Approachとは

Lateral Parapatellar Approachとは

前回まででTKAの内側からの3種類を紹介しました。

Medial Parapatellar Approach
Midvastus Approach
Subvastus Approach

でしたね。

また、TKAの基本アプローチは外側からのもので1種類あると説明しました。
それが今回紹介するLateral Parapatellar Approachです。

 

Lateral Parapatellar Approachとは

Lateral Parapatellar Approachの読み方はラテラル パラパテラ アプローチです。
手術肢位は仰臥位で行います。

切開部位は外側膝蓋支帯・外側広筋です。

TKA-Lataral Parapatellar Approach

腸脛靭帯を切除しないように気をつけながら膝蓋支帯を切ります。

このアプローチはよくMedial Parapatellar Approachに一緒に紹介されます。
イメージとしてはMedial(内側) かLateral(外側)かの違いです。
ただし当然ですが全く違うアプローチになります。

 

Lateral Parapatellar Approachの特異性は?

そもそもこのアプローチは行われることがあまり多くないアプローチです。

なぜなら手術適応症例が少ないからです。
皆さんもよくご存知の通り、外側型の膝OAは内側型のOAと比べてかなり少ないのです。
我が国、日本においては外側型の膝OAは、膝OA全体の1〜2%程度と言われています。

そのため必然的に前回までで紹介した3種類の内側からのアプローチが主流となってきます。

さて、Lateral Parapatellar Approachの特異性は、外側から切開することです。
そのままですが、これが最大の特徴です。
内側からのアプローチに比べ、重要な神経や血管が少なく、それらを術中に損傷する可能性も低いです。
そういった意味では内側からのアプローチに比べてリスクの少ないアプローチと言えます。
内側からのアプローチでは特に伏在神経の膝蓋下枝を損傷することがある

また注意点として、術後の表層から確認できる皮切では、どの術式で行ったかは判断できません
たまに、外観から見える皮膚上の手術痕を見て「ここを切っているから○○のアプローチかな」と判断されているリハビリスタッフの方が見受けられますが、これはナンセンスです。

外観の皮切位置は、あくまで皮膚と皮下の脂肪を切り開いていくためのものです。
皮膚と脂肪を切り進めてようやく筋膜に到達します。
なのでこの記事でも切開部位として紹介しているのは皮膚と脂肪を避けた後切っていく筋膜部分として紹介しています。

TKA皮切
一般的なTKAで12cm前後、MISでは8cm前後となる

また、TKAは欧米では一般的に正中切開が多いです。
それに比べ日本では内側型の膝OAに対してはやや内側での弧状皮切が多いです。
膝を地面につくことや、膝立などの動作が多い生活スタイルであった事が理由ですが、最近ではあまり重要視されなくなりつつあります。
また、外側型の膝OAでは皮切は正中切開が基本です。

皮切での術式の判断は不可能であり、あくまで大まかな予測しかできません。
術後、リハビリ病院などに転院されてきた場合など情報提供書に術式の細かな記載がない場合は執刀医に直接尋ねるしかありません。

術後のリハビリを行う場合、術式を把握しているか否かでは大きな違いかと思います。
まずはどのような術式があるのかを知る事が大切ですね。
今回はTKAのLateral Parapatellar Approachを紹介しました。

次回はTKAの手術の概要を紹介しようと思います。

 

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