実際のインプラント
- 2018.01.27
- THA・BHA
実際のインプラント
前回はTHA・BHAにおけるインプラントを簡単に説明しました。今回はそれらが実際どのようなものか写真で確認していきましょう。
BHAとTHAの動きの違いを説明する前に実際のインプラントがどのようなものか簡単に紹介します。
細かな設計や特徴は「ステムの基礎知識5」からの記事で説明していますが、順に読んでいく事をお勧めします。
ステムってどんなものなの?
まずはステムの紹介です。英語記載は「Stem」です。
実はステムは非常に種類が多いです。廃盤になった過去のものも含めると200種類以上あると言われています。
写真を良く見ると、表面がツルツルしているステムと、ザラザラしているステムがあるのが分かります。
これらの違いは何なのでしょうか?
セメントステム・セメントレスステム
実は、手術にはセメントを使用する場合と、使用しない場合があります。そのためセメント専用のステムと、セメント非使用専用のステムが存在します。
セメントを使用する事を「セメント」と言い、セメントを使用しない事を「セメントレス」と言います。
そのままですね。
セメント用ステム:表面がツルツル
セメントレス用ステム:表面がザラザラ
です。
若い医師の方などはセメントステムの使用を嫌がる医師も少なくありません。
急速な血圧低下などが起こり手術中にそのまま亡くなってしまう事例が少なからず存在するからです。
しかし全症例数から見たらセメント使用による血圧低下が起こる症例は少なく、セメントの量や粘度を間違わなければ問題ないとおっしゃる医師も多くいらっしゃいます。
バイポーラーカップってどんなものなの?
次にバイポーラーカップとインナーヘッドの紹介です。
英語記載は「Bipolar Cup」と「Inner Head」です。
バイポーラーカップとインナーヘッドの構造は基本的にどのメーカーもほとんど同じです。素材の違いや、若干の設計の違いはありますが、同じと考えていて良いです。
ちなみに上の写真のインナーヘッドはセラミックで出来ています。ピンク色で目立ちます。体の中に入れてしまえばインプラントの色は全く見えませんが。
THAカップってどんなものなの?
次にTHAカップの紹介です。
これもどのメーカーも構造に大きな違いはありません。整形外科医によってはTHAカップはどれでも良いと言う医師もいらっしゃいます。こちらもステム同様、セメントタイプとセメントレスタイプがあります。
写真の3つは全てセメントレスカップである
各メーカーにおいて大抵はスクリューは0本・3本・6〜8本打てるようなスクリュー孔の配置になっております。
ちなみにカップの真ん中の少し大きな穴はスクリュー孔ではありません。真ん中の穴は、手術中にカップを把持するときに使用する穴であって、スクリューは通しません。
この真ん中の穴は基本的にはカップ設置後にフタをします。フタをせずそのままの場合もありますが、どちらでも身体には問題ありません。
さて、今回はインプラントの実際の写真を乗せて説明しました。
実際のインプラントって、医師は手術のたびに目にしますがオペ室に入らない理学療法士等のリハビリスタッフの方々はなかなか見る機会がないと思います。各インプラントの名称とともに頭に入れておくと役に立つかもしれません。
次回はBHAとTHAのインプラントの可動の違いを説明します。
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