関節GAPとは
- 2019.10.20
- TKA
関節GAPとは
前回はTKAにおける骨切りを紹介しました。
今回はTKAにおいて非常に重要な関節GAPについて説明します。
TKAを知る上ではこの関節GAPの概念は必ず把握しておかなければなりません。
GAPとは関節の幅?
そもそも関節GAPとはなんなのでしょうか?
簡単に言うと関節のキツさ(緩さ)の指標です。
関節がキツいと動きが窮屈に、関節が緩いと動きが不安定になるイメージで、まずは構いません。
膝関節においては、伸展時(伸展0°)の関節GAPと、屈曲時(屈曲90°)の関節GAPを確認するのですが、関節がキツいと伸び(曲がり)が悪く、関節が緩いと過伸展または脱臼のリスクがあります。
さて、もう少し関節GAPの基本について理解していきましょう。
GAPの意味合いとしては、骨切り後に出現する空間の幅(mm)の事を意味しています。
つまり、例えば「伸展GAPが20mm」というと以下の下図のような状態になります。
また、屈曲GAPも同様です。
「屈曲GAP20mm」といえば下図のような状態です。
つまり、伸展時または屈曲時の関節の空間の幅という事になります。
では関節GAPはどのように計測しているのでしょうか?
スペーサーブロックとは?
術中に関節GAPを計測する際、多くはスペーサーブロックを使用します。
骨切り後にできた空間にこのスペーサーブロックを入れて空間幅を確認します。
例えば、20mmのスペーサーブロックを入れて幅に余裕があれば次に21mmのブロックを入れて確認します。
その際にスペーサーブロックを動かしてキツさを手で感じます。
これは執刀医の感覚(主観)になりますが、キツい・緩いでこの空間の幅を判断していきます。
このように骨切り後にできる空間にスペーサーブロックを入れて、いま現在の関節GAPを確認するのです。
例えば伸展位で、
20mmのスペーサーブロック → 緩い
21mmのスペーサーブロック → ちょど良い
22mmのスペーサーブロック → キツい
となると、伸展GAPは21mmと判断される訳です。
GAPはこのように判断されていきます。
術中にGAPを確認する意味
ここまで記載したところで既に気がついている方もいるかと思います。
そう、GAPとは、実際にインプラントを設置した際に予想される関節のキツさを確認しているのです。
狭い空間にTKAインプラントを無理やり設置すると、当然関節はキツくなります。
この状態では可動域制限が発生します。
術後に、曲がらない・伸びない膝が出来上がってしまう訳です。
逆に広過ぎる空間にTKAインプラントを設置しては関節が緩くなります。
この状態では良く曲がり良く伸びるかも知れませんが、不安定な膝が出来てしまい、最悪の場合脱臼してしまいます。
関節GAPはキツくても緩くてもいけないのです。
今回は関節GAPの基本概念を説明しました。
次回からこのGAPについてもう少し詳しく説明していきたいと思います。
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