脱臼肢位の認識の違い

脱臼肢位の認識の違い

脱臼肢位の認識の違い

 

THA・BHAにおける脱臼肢位は、セラピストが言う場合と、医師が言う場合で意味している事が異なる印象があります。

本質は同じなので問題ないのですが、本来の認識とリハビリテーションの臨床現場での認識の違いについて説明します。

脱臼肢位の認識が異なる?

 

セラピストの言う脱臼肢位とは?

理学療法士や作業療法士の方々、つまりセラピストの方々の言う脱臼肢位は禁忌肢位を意味している場合が多いような印象です。その肢位をしては脱臼の危険性があるから避けるべき肢位、といった意味合いで使用しているかと思います。それはそれで間違いではありません。

脱臼肢位 = 禁忌肢位 といった考えですね。

 

しかし本来の意味を理解すると、禁忌肢位という訳でもない事が分かります。

禁忌肢位の意味合いは「脱臼の原因」でカップ・ステムのインピンジメントをご理解頂ければと思います。インピンジする肢位は禁忌肢位です。

 

本来の脱臼肢位の意味は?

さて、それでは医師の言う脱臼肢位とどこが異なるのでしょうか?

実は本来の脱臼肢位とは、術中に実際に骨頭を脱臼させる肢位です。その肢位にて骨頭を脱臼させます。

脱臼肢位 = 術中に脱臼させる肢位 という事です。

THAやBHAの手術において、実際に骨頭を脱臼させなくてはいけません。そうしなければ大腿骨側の処理が行えず、ステムの挿入ができませんからね。

つまり脱臼肢位の本来の使い方は脱臼させる肢位であって、脱臼してしまう肢位ではありません。

もちろん術中は筋や関節包等の軟部組織を切るので脱臼させること事態は難しい事ではありません。また大腿骨頭靭帯が切除できれば骨頭は簡単に抜去できます(大腿骨頭靭帯を切除するのが結構大変)。骨頭が抜去されれば大腿骨の処理に移るのですが、その際に脱臼肢位をとります。

 

脱臼肢位 ≒ 禁忌肢位 で良い?

ニュアンスが若干異なりますが、セラピストの方々の言う脱臼肢位は禁忌肢位として認識していて良いと思います。

もっと言うとステムとカップのインピンジ肢位という意味合いで理解しておくとさらに深いものになります。

BHAは強烈な外力がかからなければ脱臼はしませんし、THAの脱臼はインピンジが起こらなければ発生はしないですからね。

脱臼の仕組み

インピンジが起こる肢位は必ず把握しておきましょう

インピンジと脱臼の関係インピンジ肢位この2つを理解した上で脱臼肢位を認識すれば「脱臼肢位 ≒ 禁忌肢位」といって良いと思います。

安易に、脱臼肢位 = 脱臼する!と考えていては必要十分なROMエクササイズはできませんし、患者自身もセラピスト自身も必要以上に恐怖心が煽られます。

関節包や軟部組織の状態によりますが、THA後の患者さんもしゃがめます(屈曲・外転・外旋)。

 

皆様の脱臼肢位に対する認識はどのようなものだったでしょうか?

 

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