人工関節の適応

人工関節の適応

人工関節の適応

人工関節の適応疾患とは?

今回は人工関節の適応となる疾患の紹介です。
理学療法士等のリハビリセラピストの方々であれば、まず思い浮かぶのが

 変形性関節症(OA)

ではないでしょうか?

その通りです。まず最も多いのが変形性関節症に対して人工関節を入れられる患者さんです。OAの基本的な病態説明はこれを読んでくださっている皆様には必要ないと思います。

さて、実は人工関節の適応はOAだけではありません。
整形外科医の方は良くご存知だと思いますが、OAの次に多いのが、

関節リウマチ(RA)

です。

RAの患者さんにも人工関節は適応されます。皆様の中にレントゲンを見て、

「あまり変形していないのになぜ人工関節にするのかぁ」

と感じる症例さんも少なくないかと思います。
そう、RAの場合は変形が少なくても痛みによっては人工関節の適応となる場合が少なくありません。


術前のレントゲン画像

上の写真は両方とも人工関節に置換した股関節です。

左がOAで、右がRAです。RAの方は若干の骨硬化が確認できますが、一見すると正常な関節にも見えますね。でも血液検査をすると一発でRAが進行しているのが分かります。

このようにRAでの人工関節適応はレントゲンのみでは把握できない場合も少なくありません。

RAでの適応の場合、肩関節・肘関節・指(主にPIP DIP)関節・足関節に対する適応も多いです。RAでは荷重関節でなくても変形や痛みが進行してくる場合が多いです。
滑膜の炎症やそれに伴うマクロファージの活動によりどんどん変形が進み、痛みも出てきます。変形が進行する前に手術で患者さん自身の関節を人工関節に置き換える場合も多いです。

その辺りの説明を次回の記事で少し紹介してありますのでぜひ読んでみてください。

 

人工肩・肘・指関節の症例数は減っている?

人工肩関節・人工肘関節・人工指関節の症例数が減っている要因について簡単に書きたいと思います。

上に書いたように、肩・肘・指の人工関節の適応の多くは関節リウマチ(RA)です。
現在、RAに対する新薬が多く承認され、ほとんどの患者さんがこの新薬で痛みやRAの進行を改善させているのです。

近年RAの薬物治療は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やステロイドによる対症療法から、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)が使用されるようになってきているようです。
また、薬の効果が薄い患者さんにはサイトカイン阻害薬(IL-6受容体阻害薬など)などが使用されていたりします。

つまり、人工関節の適応になるまで悪化する前に様々な薬で改善されてきているのですね。
これは社会的には嬉しいことです。今後の日本においてRAが完全に人工関節の適応でなくなる日もやってくるかも知れません。

 

余談ですがRAの注意点を

余談ですが、関節リウマチ(RA)の患者さんは頸椎の亜脱臼が見られることがあります。

阻血やROM制限があるからと言ってC1-2周囲の筋硬結を改善させ過ぎると不安定性が発生する場合があります。
またRAに限らず、頸椎横靭帯や翼状靭帯が損傷または断裂している場合の関節mobilizationは禁忌です。
一気にinstabilityが加速してしまいます。

RAの患者さんを担当している理学療法士等のリハビリスタッフの方々はC1-2の亜脱臼と頸椎横靭帯・翼状靭帯の状態は必ず気をかけながらリハビリを行うのが望ましいです。

理学療法士の転職紹介なら【マイナビコメディカル】

 

⇐前の記事(人工関節の種類)

(人工関節の適応2)次の記事⇛

 

記事一覧はこちら